花粉症の症状と漢方の考え
花粉症は、花粉の飛散が多くなる時期に目や鼻のかゆみ、くしゃみ、鼻水、鼻づまりなどの症状が現れるアレルギー性疾患の一種です。
喘息やアトピー性皮膚炎など、アレルギー疾患を持っている方は花粉症になりやすい傾向にあります。
花粉症の原因は、外的要因と内的要因にわけられます。
外的要因:
花粉の飛散量の増加や大気汚染などの
内的要因:
食生活の変化運動不足やストレスによる内的要因が考えられます。
食生活でいうと偏った食事、冷たい飲食物の摂りすぎ等が考えられます。
最近では、日本で昔から食べられてきた雑穀や発酵食などの摂取量が減少していることも大きく関わっているとも考えられています。
そこからすると、味噌、納豆、漬物等の日本古来の食品を意識して摂り入れることをおすすめします。
花粉症の漢方的対策
漢方でいうと体質をタイプ的にわけて治療を考えます。
漢方では体質のタイプを大きくわけると寒症タイプと熱症タイプに分けられます。
寒症タイプ
このタイプは、冷気にあたったり、朝起きたときにくしゃみと鼻水が止まらないのが特徴です。一般的に冷たい食べ物や氷を入れた飲み物を好む方に多くみられます。
特徴は
- 水のようなサラサラした鼻水
- くしゃみが一日何度も出る
- 朝起きてからしばらくひどい
- 花粉症の初期
この症状におすすめの代表的な漢方薬は
小青竜湯(ショウセイリュウトウ)です。
くしゃみと水様の鼻水、咳や白い痰が多い、また息苦しいなどの症状に有効です。
寒症タイプの生活に関するこころがけ
冷えタイプの人は緊張しやすく身体がこわばる傾向があります。
緊張はエネルギーの流れを悪くするので、リラックスしましょう。
運動もおすすめですが、温まるまで運動するように心がけましょう。
適当な休息は身体を温める力のチャージにつながります。
部屋の換気を心がけ、日光に当たるようにしましょう。
寒症(冷えタイプ)の方におすすめの食品
生姜、ネギ、にんにく、らっきょう、ニラ、シソ、シナモンなどがお勧めです。冷たい飲み物や生野菜、生ものは控えましょう。
寒証タイプで鼻づまりが強い場合
花粉症の中期から後期にはこの症状に移行する傾向にあります。
- 鼻づまりが強い
- 無色~白色、少し粘り気のある鼻水
- お風呂など温まると、鼻づまりが軽減される
- くしゃみ、鼻水が治まっても鼻づまりだけが残る
- 慢性鼻炎、蓄膿症(副鼻腔炎)
<寒証タイプで鼻づまりが強い場合におすすめの漢方薬>
どちらかというと鼻づまりが中心…。鼻がつまって出て来ない…。という方におすすめなのが『葛根湯加川芎辛夷(かっこんとうかせんきゅうしんい)』。風邪薬でお馴染みの葛根湯にさらに生薬をプラスし、つらい鼻づまりを改善するようにアレンジした漢方薬です。
お風呂などで体が温まると楽になるのは、冷やされて起こる“寒証の症状”の特徴。まだ鼻水が無色~透明であることも“寒証の症状”のポイントです。
カラダを温めてくれる葛根湯ベースの葛根湯加川芎辛夷で温めて治しましょう。
熱症タイプの花粉症
寒症タイプに対して熱症タイプがあります。
慢性鼻炎:ネバネバ黄色の熱証タイプ
このタイプの症状の特徴は
- 粘り気のある濃い鼻水
- 黄色~緑色の着色した鼻水
- 鼻がつまって鼻水が出ない
- 頬~前頭部の痛みや頭重感
- ニキビやのどの炎症
- 花粉症の後期、慢性鼻炎、蓄膿症(副鼻腔炎)
<おすすめの漢方薬>
ネバネバした粘り気のある黄色い鼻水は、鼻炎が慢性化し“熱証の症状”に変わってきている証です。
そんな熱証の症状におすすめなのが、熱を冷ましながら鼻炎を改善してくれる
『荊芥連翹湯(けいがいれんぎょうとう)』です。
慢性化した熱証の鼻炎の代表的な漢方薬で、蓄膿症(副鼻腔炎)は勿論のこと、それに併う中耳炎にも効果的の他、慢性扁桃炎、にきびにも幅広く使われています。
慢性鼻炎:匂いが分からない熱証タイプ
このタイプの症状の特徴は、
- 鼻の乾燥感があり、鼻づまりが著しい
- 頭痛や鼻の痛み
- 匂いが分からない
- 粘り気のある濃い鼻水
- 黄色~緑色の着色した膿性の鼻水
- 慢性鼻炎、蓄膿症(副鼻腔炎)
<おすすめの漢方薬>
鼻づまりがとにかくひどく匂いが分からない という熱証タイプにおすすめなのが
『辛夷清肺湯(しんいせいはいとう)』です。
熱を冷ます作用に加え、呼吸器を潤す作用があり、乾燥感がある鼻づまりに効果があります。
荊芥連翹湯同様、蓄膿症(副鼻腔炎)の改善にもよく使われる漢方薬です。
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